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血管外科・静脈外科

下肢静脈瘤レーザー治療リポート(平成29年12月まで)

私が担当した平成28年11月5日付徳島新聞 健康相談室の下肢静脈瘤についての記事です。
少し見づらいと思いますが、治療については、症状とエコー検査で判断を行うという趣旨です。

下肢静脈瘤レーザー治療リポート(平成28年12月まで)

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はじめに

 平成23年1月より下肢静脈瘤の血管内レーザー治療(以下レーザー治療)が保険適用となったことより、田岡病院(平成27年1月よりきたじま田岡病院で診察・手術施行)も下肢静脈瘤のレーザー治療を開始しました。平成23年7月より平成29年12月までの間に512人601肢のレーザー治療を行いましたので、その結果の比較などについて述べます。また、この間に静脈疾患についての学会発表や論文を末尾に記載します。
 きたじま田岡病院では最新のレーザー機器(1470nm)を導入しまして、新たなレーザー治療を開始しました。従来の機器で治療を行った患者さんは272人342肢で、最新のレーザー機器を用いて治療を行った患者さんは240人259肢でした。
最新のレーザー機器の特徴としまして、従来の機器(980nm)で認められたような、手術後の痛みと皮下出血がほとんどないことが挙げられます。術後の痛みがないことと血栓症などの重大な合併症は1例も発生していません。
私自身、静脈瘤以外の患者さんを含め、約3,000人の方の血管エコー検査を行ってきましたのでその経験に基づき、下肢静脈瘤の特徴について報告いたします。

下肢静脈瘤とは

 下肢の静脈はおおまかに分類して、①脚の深いところにある深部静脈とよばれる本幹 ②皮膚のやや浅いところを走り、足のくるぶしの内側からふくらはぎの内側を通り、太ももの付け根で本幹につながる大伏在静脈、くるぶしの後ろからふくらはぎを通り、膝の後ろ付近で本幹につながる小伏在静脈 ③皮膚の表面から血管が見える側枝と呼ばれる静脈、網目状とかくもの巣状の静脈などがあります。
そして、これらの静脈の特徴としまして、逆流防止の弁がいくつもあるということがあげられます。その弁があることによって、重力に逆らって、足の先から心臓まで血液を帰すことができるわけです。しかし、なんらかの原因で、この逆流防止の弁がきちんと閉まらなくなってしまいますと、静脈瘤の原因となってきます。

下肢静脈瘤の症状(当院にてレーザー治療を行った方々の)

イ. 倦怠感・疲労感(脚がだるい、重い、疲れる)
ロ. かゆみ、むくみ
ハ. うっ滞性皮膚炎、脂肪硬化、色素沈着、潰瘍など皮膚変化
ニ. 痛み、発赤(皮膚が熱を持ったり、赤くなる)
ホ. 高位結紮術後、硬化療法後の再発による症状
ヘ. 静脈瘤はあるが無症状

注意!! むくみや痛みは、血栓性静脈炎や深部静脈血栓症のことがあります。肺の血管に血液の塊が飛べば、致死的になることがあります。血液検査とエコー検査で簡単に調べることができます。万が一、血栓症でも治療が早ければ、重症になる前に治療することができます。

静脈瘤の手術は日帰り手術が可能で、局所麻酔で行います。最近では、眠っている間に手術を行い、手術が終わる頃には目が覚める麻酔に取り組んでいます。

※当院使用のレーザー治療は保険適応です。また、医療保険の対象になります。
 また、手術後はほとんどの方で症状の消失と軽減をみています。よって、症状のある下肢静脈瘤で、エコー検査で強い逆流があれば、治療をすすめます。当院にて一般的な静脈瘤の治療を行った方々の写真をお見せします。

この方は最新のレーザー機器を用いてレーザ治療を行いました。手術ではレーザーによる痛みはなく、皮下出血も認めませんでした。術後には、見た目にも脚がきれいになっただけでなく、脚が軽くなったと非常に喜んでいます。

下肢静脈瘤レーザー治療リポート(平成28年12月まで)

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1. レーザー治療の成績

 レーザー治療の成功率は、レーザー治療の効果が得られず、他の治療法で治癒したものが601肢中1肢、症状が取れなかったものが2肢ありましたので、成功率は99.5%でした。倦怠感、こむら返り、痛み、むくみなどの症状はほぼ全員の方が消失しました。静脈瘤の軽減、消失はほぼ全員で認められました。少し残っていても、美容上の希望があれば、硬化療法を行えば良くなります。下肢のむくみ、うっ滞性皮膚炎、脂肪硬化、潰瘍のあった方はレーザー治療後ほぼ全て皮膚炎の消失、軽減を認めています。
 なかには、台所仕事をはじめたとたん脚がぬけるようにダルくなり、約20年間台所仕事がつらかったのが、レーザー治療後はそれが完全になくなったという方がおいでました。
 また、3人の方は膝の痛みとして整形外科で治療を受けていましたが、あまり良くならなかったのが、レーザー治療後膝の痛みが取れました。

2人の方は下腿の不全穿通枝という枝があり、皮膚炎が少し残っておりますが、穿通枝の結紮術を追加することで、良くなりました。色素の沈着や皮膚の硬くなったものは時間の経過とともに良くなりますが、長引けば長引くほど良くなるまでに時間がかかります。皮膚症状のある方は一度診察を受けられることをお勧めします。
 当院にて現在までにレーザー治療を受けられた方では、静脈瘤の再発は認めていませんし、特に合併症もありませんでした。

2. 切らずに治す治療法

イ. 大伏在静脈瘤、小伏在静脈瘤のみの場合はレーザー治療だけで良くなるため、瘤切除を
   行う必要がなく、切る(切るといっても2,3mmの創です)必要はありません。
ロ. 脚の表面にボコボコと浮き出た静脈瘤(側枝静脈瘤)を合併するものでも、レーザー治療で
   良くなることもありますが、残る場合は表面の静脈瘤に硬化療法を加えることにより、
   切らずに治すことができます。切らない治療を希望する方は申し出てください。

3. 結論

 過去三十数年間、ストリッピング、高位結紮術、硬化療法などの下肢静脈瘤の治療に取り組んできたものとして、下肢静脈瘤のレーザー治療は良好な結果が得られる、いい治療法と考えられます。この5年あまりで田岡病院ならびにきたじま田岡病院で行ってきたことをまとめて学会発表、論文発表を行い、今後も行っていく予定です。

1)学会発表
   ① 第32回日本静脈学会総会 平成24年6月 埼玉県大宮市
   「深部静脈血栓症の早期発見と予防・対策 -可溶性フィブリンモノマー複合体測定の意義-」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   ② 第33回日本静脈学会総会 平成25年6月 岡山県倉敷市
   「静脈血栓症の診断・治療法の確立に向けて」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   ③ 第34回日本静脈学会総会 平成26年4月 沖縄県名護市
   パネルディスカッション「再発下肢静脈瘤に対する治療」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   「深部静脈血栓症の経時的変化」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   「下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療経験」
   角瀬裕子、中井義廣、山口剛史、岡本 浩
   「下肢静脈瘤治療の比較検討―血管内レーザー治療との併用について―
   山口剛史、中井義廣、角瀬裕子、岡本 浩
   ④ 第35回日本静脈学会総会 平成27年7月 奈良県奈良市
   ビデオセッション「血管新生による下肢静脈瘤再発症例」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   「特殊な病態下に発症した急性期DVT例」
   角瀬裕子、中井義廣、山口剛史、岡本 浩
   ⑤ 第36回日本静脈学会総会 平成28年6月 青森県弘前市
   パネルディスカッション
   「エドキサバンによる整形外科下肢手術後の静脈血栓症の発症予防効果」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   「エドキサバンによる静脈血栓症の治療」
   中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
   ⑥ 開催予定 第37回日本静脈学会総会 平成29年6月 徳島県徳島市
   2題発表予定

2)論文発表
   ① 中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
    :深部静脈血栓症の早期発見と予防・対策 -可溶性フィブリンモノマー複合体測定の意義-
     静脈学2013;24:295-302
   ② 中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
    :血管新生による下肢静脈瘤再発 静脈学 2016;27:421-426
   ③ 中井義廣、角瀬裕子、山口剛史、岡本 浩
    :エドキサバンによる整形外科下肢手術後の有症候性深部静脈血栓症の発症予防効果
     -可溶性フィブリンモノマー複合体とDダイマー測定の意義- 静脈学 2017;28:23-28

4. この6年6ヶ月で行った治療法

イ. レーザー治療 601肢
ロ. 硬化療法 約200肢
ハ. ストリッピング、瘤切除(レーザー治療に伴ったものは除く) 50肢
ニ. 弾性ストッキングなど保存的治療 約1000肢

網目状静脈瘤、蜘蛛の巣状静脈瘤などを含め、静脈瘤にも様々な状態・病状がありますが、エコー検査によって簡単かつ正確に診断可能です。気になることがございましたら、気軽に何でもご相談ください。診察日以外でも、対応可能です。

担当医:中井 義廣(きたじま田岡病院 血管外科)
外来診療:月・水(いずれも午前);田岡病院(万代町)
     火・木・土(いずれも午前);きたじま田岡病院


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